あ・うんの愛

〜「愛ダス」より〜

 「あっ!今、あなたコーヒーを飲みたいと思ったでしょう!実はあたしもなんだ」

 黙っていてもわかりあう男女の仲がある。相手が今、何を望んでいて、何を考えているのかがなんとなくわかる。一種のテレパシー現象のように、相手の心が伝わるのである。それを人は「あ・うんの呼吸」と呼ぶ。

 昔から「ツーと言えば、カー」と言ったり「一を聞いて十を知る」という読心術のような感覚は、通じ合う者同士にはよくあるコミュニケーションだった。気の合う恋人同士や長年連れ添った夫婦の間には、自然にそういう状況が生まれてくる。まるで相手と自分の間に見えない電話線が張られているようなものである。連帯感が強くなると、離れていても相手の気持ちがわかるようになる。仕事から帰ってきたら、自分が食べたかった料理を相手が用意して待ってくれているという経験をしたことはないだろうか?

 どうして、そんな感覚が起きるのか?それは、人間が言葉だけでミュニケーションをしているのではないからである。

 人間が互いに物理的に接触しているように見えて、実は見えないエネルギーフィールドであるオーラを媒介にして触れ合っている。オーラは、人の身体から発しているものではなく、肉体を包み込むエネルギーの鋳型である。「人間の体」とは、肉体を指して言うのではなく、オーラである本体とそこに作られた肉体の合体した形を言う。そのオーラはある周波数を持った波動であり、個人によって少しずつ違っている。それが個性である。そして、そのオーラを生み出した(投影した)元が魂(スピリット)である。

 オーラは実際の肉体より大きく、空間に広がっている。オーラの形は人や感情によって変化するが、普通の健康な人のオーラは足元に向かってタマゴ型をしている。タマゴ状の気圏は肉体よりも容積が大きいために人が隣にくると、その人のオーラと重なり合ってしまう。他人であっても隣り合った人同士が影響し合うのはそのためである。

 例えば、学校や職場で隣に座っている友達が言葉に出さなくても悲しみに沈んでいたら、あなたもなんだか悲しくなる。だが、あなたが温かい気で相手の心を受けとめる時、相手はなぜか安らいだ顔になっていく。特に、夫婦のように一緒に暮らしていると互いの振動数が近くなる。すると、チャンネルを合わせたテレビのように相手の意識が入りやすくなり、相手が何を考えているのかがわかってくる。「あ・うんの愛」は、互いに相手の目指している方向がわかりあう信頼関係から生まれる。夫婦でも、友人であっても、互いに意識の進化を助け合おうという自覚がある。「愛情」と「愛」の違いを知ると、人は相手に、自分をダメにするような甘え方をしなくなる。そんな二人から生まれる「あ・うんの愛」は、個人ではなかなか到達できない高い意識を生む。