風の言葉 – 67

……自我のささやき

言いたいよね。
自分は悪くない、あの人のせいだ!、自分は今、こう思っているんです。それが素直な自分の気持ちです、 と。
確かに、今は本気でそう思っているのかもしれない。
……けれど、それはあなたの中の誰が言ってるの?

誰? って、「私」に決まってるじゃない。

そう、じゃあ質問の仕方を変えますね。
今のあなたの「言葉」は、感情から出ているのですか?
それとも、論理として組み立てて出た結論ですか?

……うーん

ゴメン、困らせちゃった。
でも、考え込むという態度、とても感性が高いと思います。
自分を振り返った証拠だから。

よく「考えるな、感じろ!」とドラマや映画で言ったりするじゃない。
そうすると、考え込むより、直感の方が大事なんだ、と短絡的に思ったりしてしまう。

だけど、その本当の意味は、「自我の感情で考えてはいけない。自分の魂が“今、何を言っているのか(求めているのか)”を感じなさい」

という意味なんだよ。 

つまり、多くの人は、「いろいろ悩んだ結論ですが……」と言っても、ほとんど感情の中から思考(そんなの思考じゃないんだけど)しているだけなんだ。
だから、後で『こんなはずじゃなかった……」と後悔することになったりする。

マンガで、お金を拾った人の頭の周りに「警察に届けようよ」と囁く天使と「かまわないから使っちゃえ」とそそのかす悪魔の絵があったりするけど、実際はそんなわかりやすい単純なものじゃなく、「自我」は、まるで自分がその時最善の道を選んでいるかのように錯覚させてしまう。
そして、たとえ人に相談しても、自我からの結論に賛成してくれる人にしか相談しない。

ねっ、巧妙でしょ。
「じゃあ、私は、もしかしたら今まで自分の自我に振り回されてきたんじゃ……」
そうかもしれない。
そうじゃないよ、って聞きたいのだろうけど。

だから、「感情を外して思考すること」が大事なんだ。

「私」は今、感情的になっていないか? と常に自分をチェックしてみる癖を付ける。
あの人は今、感情的になっていないか? と観察する癖をつける。

ただし、感情的に見せて、そのじつ、計算している人もいるから気をつけて。
舞台で怒鳴り散らす演出家なんて、感情をぶつけているように見せて、役者たちの反応を冷静に観察してる。

……だから、表面じゃないんだよ。

むずかしい? 肩が凝る? 人が信じられなくなる?
確かに。でも、自分の本音と建て前、人の本音と建て前が見えてくる。

そんなもの視たくない! 視て何になるの?

……じゃあ、何のために転生を繰り返してきたの?
思考すること(つまり、脳を振動させること)で、自我からの脱出を計るためじゃない。
感情ではなく、愛で行動したいためじゃない。

そのために、今の人間は全て「霊化」によって魂の響きに敏感になっているんだよ。
まあ、余計に今の段階では感情が刺激されるけどね。
そこを克服して、論理を求める。素晴らしいじゃない!

だからこそ、もう自分(魂)を誤魔化さなくていいんだよ。


2011年7月15日 晴れ
BOSSの缶コーヒーのコマーシャルで宇宙人ジョーンズは、「私は何故、この星に留まり続けているのだろう?」と思考分析しているでしょ。
不可解な地球人の行動は、きっと不可解な思考(感情?)の反映なんだろうね。
僕なら、居残り願いなど絶対に出さないけどね……。