風の言葉 – 16

この聖なる夜に……
今年、いろんな事があったね。
ああ、いろんな事があったさ……。
でも、まだ「答え」は出ていないんだ……。
そう。長い夜だからね。
ああ、時代はいつだって、そうさ。
今年、いっぱい苦しんだ人もいるだろうね。
でも、僕は自分で思うからだけど、きっと、多くの人は、「自分の執着」で苦しんだんじゃないかな……。
「こうでなければ……(コーディネートは、こーでねーと、ではありませんよ)」とか、誰々や自分に「こうであってほしい」という想いを掴んでいた為に。
……自分がそうであるように、みんな精一杯生きている、と思う。
ラクして、なんとかしたい! そうも思うけれども、結局はラクなんかできないんだと思う。
なぜなら、みんなそれなりに大変だから。
友人が、しばらく前まで、自然食系のレストランで働いていた。
朝の10時から、深夜まで。寝るのはいつも午前3時くらいだったという。
ほとんどの飲食業は、朝から夜遅くまで、らしい。
休むこともできなくて、なのに、人の健康の為の「食事」を自分の身体をボロボロにしながら作っている。
「ちょっとヘンじゃない?」と普通なら思うけど、みんなそんなものだから、という答えがきっと返ってくる。
でも、やっぱりヘンだよ。
日本では、「食べる」ことへの異常なまでの執着があるらしい。しかも鮮度にこだわりすぎて、賞味期限を誤魔化している会社や人たちが大勢いる。
挙げ句に、まだ食べられるモノを捨て続けている。
昔は、ホームレスにそっと弁当を提供してくれるコンビニもあった。
でも、今は、焼却処分行きなのだという。
万が一、食中毒でも出たら、責任問題だから、と。
片一方で、冬の寒空に空腹でじっとうずくまっているいる人たちがいる。もう片一方で、賞味期限が切れたというだけで、食べ物が誰の口にも入らないで捨てられていく。
それでも、人は、止まれないのだろうか?
一人くらい、「いちぬーけた!」と言っても良いのに。
だから、僕は、世界から「外れた」んだよ。
自分が、自分で、居続けられるために……。
大切なモノを守る為に、そう、みんなその為だけに頑張っているよね。
でも……、本当に大切なモノは、護れているの?
どうか、頑張らないで!
何の為に、2000年の昔、あの方は自己犠牲を払ったの……?
そして、今、路上で暮らす多くの人は、華やかなキャンドルの灯りを遠目に見ながら、自分の「幸せ」をそっと祈っているのだと思う。
地には、平和を。そして、人には、「愛」を。涙の流れない夜を……。
この地上に生きるすべての人の上に、今夜も美しい星が輝きますように……。
2007年12月24日 ハチミツ色の満月を得たクリスマス・イブの夜に。