風の言葉 – 12

頑張れ! そして、頑張るな!

……頑張った人にも、頑張らなかった人にも……。
昔ね、そんなCMがあったよ。清涼飲料水のコマーシャルだった、と思うけど。

人は、自分で「無理をする」。無理して、頑張って、何とかしようとする。
それを人は「努力」と誉めるけれど、時に、その「頑張り」は、呪縛となって、自分を縛るよ。
そうして、無理を続けて、身体を壊すまで、頑張ってしまう。
それじゃあ、なんにもならないよね。

うん。だから、本当は「適当に、頑張る!」、あるいは、「いいかげんに頑張る!」が一番いいんだ。

でも、どうやって?
「いいかげん」は、「良い加減」って書くよね。
「中庸」って事に通じるかな……。
「押してもダメなら、引いてみな」って言葉もあるよ。
あれも、「ここまで」という「見切る距離」を自分に取る姿勢かも知れないね。

でも……。
たいてい、頑張る人は、無理をし続ける。無理をして、倒れても、また立ち上がって、頑張ろうとする。
「ロッキーか、お前は!」 と言いたくなる。
それで、周りを心配させるのに……。

人の歴史の「良心のような部分」は、ほとんど、「無理して頑張った」結果だったりする。
たとえば、自分一人が頑張ってもどうにもならないこともある。
でも、その頑張りを見ていた人たちが心を動かされることもある。
ガンジーの無抵抗運動、マザーテレサの修道院。なぎら健壱のフォーク革命……?
 

あれは、その人の中の居ても立ってもいられない「信念」や「熱意」みたいなものが突き動かすのだろうね。
確かに、人は、世界は、そうして、「進化」してきた。
でも、その過程で流された、たくさんの血や涙……。

だからこそ、今は、「誰も犠牲にならない世界」が求められるんだ。
 
ねえ、だからさあ、「頑張りすぎないで、頑張ろう」よ。

長く「頑張れる」秘訣みたいなものがあるとしたら、きっと、自分で「頑張りすぎない」ことに気をつけるしかない、かな。
「あ・うんの呼吸」のようなもの?
物事の本質を常に、考え続ける「視点」みたいな?

「あっ、ここ、今、頑張りどころだな」、「これは、これ以上やっても、自我の執着になるな」というようにさ。
無理しそうになったら、大きく深呼吸して、「自分が意地はってるだけじゃないか?」って、自問自答してみる。

すると、「頑張れるとき」には、無理しないで頑張れるようになる。
 


2007年10月26日 満月

 
追伸 昔、マンガ家のまついなつきさんに原宿で会ったとき、バカ話の中で、「鍛えに、鍛えて、ガンになる」って言葉を聞いた。今思うと、とても笑えないけどね。