風の言葉 – 11

迷ったら、足もとを見よ……ていうか見てね

……人はさあ、確かに、迷うよ。それこそ、迷ってばかり、と言ってもいいほど華厳の滝、いや、過言じゃない。
でも、迷いながらも、必死で、道を探し続けているんだ。

自分が、いったい何をしたいのか? そして、今の自分に何が出来るのか?
誰もが求める問い、かな。

こんな方法は、どうだろう。
白い紙の真ん中に一本の線を引いて、左側に自分が「今一番してみたいこと」、「興味があること」を書き並べてみる。
そして、優先順位を付ける。
次に、今の自分がすぐに出来るかどうか? の判断をその横に書き込んでいく。
たとえば、運手免許が取りたい、だけど、今すぐには、資金も時間もない、となれば、計画としては先送りの事項となる。
 
そうして、「今したくて、しかも、今の自分に出来ること」を選び出す。
……すると、「あれもしたい、これもしたい」と漠然と考えていたことが、一つの方向性や、進んでいく道のプロセスとして、どの位置に在るかが見えてくる。あるいは、自分の「したかったこと」は、具体的な仕事や趣味ではなく、もっと漠然とした「イデア=概念」であったことに気づかされるかもしれない。たとえば、「子どもたちの笑顔が見たい……」と、いうように。
それは、それで、一つの「心の整理」であり、次にどこへ進むかの「道しるべ」だと思うけど。前世からの記憶のせいでもあるだろうしね。

次に、白紙の右側に、「今、しなければならないこと Must Do」を書き出していこう。
家賃を稼がないといけない、とか、ローンを支払う、子どもの塾のお金を工面する、等。
それらは、皆、ひっ迫しているというか、急を要するものばかり、だったりするよね。


さて、左側に書き込んだモノと右側に書き込むモノ。それは、夢と現実の対比。
一見、その作業は、ムナしく思えるかもしれない。
だって、書いてみても、結局は、何の力にもならないじゃないか、と。
きっと、知りたいのは、「してみたい事」を現実にする方法だろうし。「しなければならないこと」を解決する具体的な手段。

でもね、本当に知りたいのは、今の現実と明日の夢とをリンクする「道」。どうすれば、「しなければならないこと」を「したいこと」で補っていけるのか? とね。

整理した時点で、いろいろな可能性や方法が見えるかも知れない。また、途方に暮れるかも知れないよね。

でも、答えは、いつでも、一つなんだよ。

それはね、どんな夢にも「近道」はないこと。そして、「今の自分の足もと」から、その道がちゃんと続いていること、なんだ。
具体的には、「今の自分にできること」或いは、「やれること」を実行に移すことから、次の「扉」なり、「出逢い」が現れてくる。
なぜなら、気持ちが焦るのは、そのことが「在る」未来を無意識にキャッチしているから。
なのに、一つも繋がっていないように「見える」現実が目の前に存在しているから……。

それでも、前に進むしかない。別に、信じなくてもいいからさ。どうせ、信じられないんでしょ。
自分の足もとから、未来に向かって伸びている道を。

だから、迷っているときは、きっと、足もとを見ていない、あるいは、見えなくなっているんだと思うよ……。

まあ、それも、迷うべくして、迷っている、一つの状態だろうけどね。


2007年10月8日 雨のち晴れ