お告げ – 94

恵方巻きの逆襲
ハイ。皆さん、今年も「節分」がなんとか無事に済みましたねー。
関東は、えらい雪で、電車も飛行機も止まって、たいへんでさっぱりわやや、でしたけど。
お蔭横町のヒソヒソ話で耳にしたんですけど、なんでも南極の磁気が弱まっていたために、南西に流れていく低気圧が関東に停滞し、それで大雪になったとか、ならなかったとか。長屋のご隠居さんの話では、太陽が強まった影響で、太陽系の各惑星まで外側に押されたエネルギーになっていたとか……。
まあ、さっすが、節分! ちゅうくらいたいへんやったわけですなあ。
で、皆さん、雪で滑って転んで大分県(古典的ギャクです)にならなかったか、ちょっと心配ですけど、明くる今日2月4日は、台風一過のような青空で良いお天気でした。布団も洗濯もんも干せました。
そうそう、「転ばぬ先の杖」ではありませんけどネ、今年も「恵方巻き」食べられた方、どのくらいいてはりますやろ?
吉方(今年の恵方は、南南東)に向かって座り、無言で「太巻き寿司」を食べるんですな。のどが詰まろうが、自分で自分の顔がアホらしかろうが、ただ黙って、モグモグと噛み砕いて飲み込んでいく。いつ終わるともしれん、苦行ですがな。昔、「男は黙ってサッポロビール」と俳優の三船俊郎さんがしてはったコマーシャルがありましたけど、さしずめ、「男は黙って恵方巻き!」の図ですな。けど、黙るも何も、しゃべられへんがな! 息詰まって死んでしまうわ!
ところで、その「恵方巻き」ですが、関東の方でも数年前からコンビニを中心に見かけるようになりました。曰く、「関西に昔からあるならわし」だとか。
しかし、先日、友人からも「ねえ、大阪の人って、節分の日に本当に家族そろって“太巻き”を丸かぶりするんですか?」って、聞かれて、正直、ワシは答えに詰まってしまったのだよ。なんでかというと、ワシ30年間大阪に住んでましたけど、幼稚園から社会人になってまで、「節分の日」に、太巻きを無言で丸かぶりをしたことなんて、一度もないのよ。まして、友達にもおらんかったし、近所でも見かけんかった。
小学校の先生が、「みなさーん、もうかりまっか? 今日は、待ちに待った節分ですから、みんな太巻き丸かぶりして、吉を招きましょなー」なんてこと聞いたこともない。
会社でも、
「丸山君、久しぶりに今晩どや?」
「課長! 今日は節分でっせ。今夜は“恵方巻き”でんがな。今日逃したら、神さん(歳徳神=としどくじん)逃げてしまいまんがな」
「おお、そやった、そやった。ワシもうっかりしてたわ」
てな、光景。一切、ありまへんでした! いったい誰が「恵方巻き」食べとったんじゃい! と今なら、思うのですわ。
せやから、コンビニやスーパーで、「関西でお馴染みの恵方巻き!」と言われても、「……そうかなあ」と考え込んでしまうんですわ。
まあ、「恵方巻き」は、海苔業者が海苔の消費拡大を謀ってキャンペーンをした「陰謀」説がほんまやと言われてますから、みんな、うまうまと乗ったわけですが(ちなみに、節分の日は「のり巻きの日」。1987年に海苔業団体が制定した記念日)。
「バレンタイン・デー」もそうやけど、誰かの金儲けの為に仕掛けた「しきたり」や「作法」が、気がついたら自分の日常生活のひとつの節目になっていたなんてこと、探せば結構あるかも。それって、考えようによっては、人間が過去からのフィールドにはまって、「この日には、こう過ごさねば……」と自分で自分の行動や思考にワク(制限)をはめている「執着」のように思うけど……。
それを「伝統」と呼ぶのか、「習慣」と呼ぶのかは、ビミョーなとこだけど、ネ。
最後に幸福屋から一言。
……じつは、ワシ、最近、「恵方巻き」を食べるようになりましてん。
黙ってモグモグして、息継ぎに、日本酒をクイっと飲むというのが、マイブームみたいになってしまったのだよ。
はまると、結構いけまんがな!
2008年 2月4日 小型の一人鍋で、湯豆腐をつつきながら……。