お告げ – 20

おいちゃん、サクラぁ、交渉成立だよ!  

マネーの寅さん
 

さあ、寄ってらっしゃいは吉原のかぶ、二吉が通る、東海道。日光結構東照宮。四角四面は豆腐屋の娘、色は白いが水くさい


と、きた。
 

今日は銭ちょうだい、くださいとは言わない。
 

ここに取りい出しましたるアイデアをさあ、ごらんあれ。 
 

砂漠を緑に変える画期的なシステム! ガソリンを使わない、水だけで走るエコ・カー! お金がなくても暮らしていけるエコ社会!
 

光を当てるだけで、残留農薬がたちまち消えていく懐中電灯! 銃から核ミサイルまで、あらゆる兵器を無力化できる電磁スイッチ!
 

人間の悪い心が消えるカプセル剤! 
 
 

どうだ!すごいだろう! ところが、みなさん、聞いてやってください。


このアイデアを実現したい! ところが、それにはお金がない! そこで、本日は清水の舞台から飛び降りたつもり!
 

さあ、このアイデアにお金を出したいという立派な方は、いないか! さあ、持ってけ、ドロボー!

 

ジリリリーン! (寅屋の電話が鳴り響く)

 

「はい、はい、ありがとうございます。50億ですね」
 

(電話口で頭を下げるおいちゃん)

 

「にいさん、兵器を無力化できるなら、全財産を出しても良いっていう投資家から電話です」
 

(緊張した顔で走り寄るヒロシ)

 

「お兄ちゃん、いい人がいて良かったわね」 (嬉しそうに微笑むサクラ)
 

「あたしゃ、信じてたよ ほんと」 (涙ぐむおばちゃん)
 

「誰か、おれの印刷工場にも投資してくんないかな。オンゴロみたいな良い本出すからさ」 (タオルで頭の汗を拭くタコ社長)

 

「まっ、交渉成立! ってことで、今夜はこのへんでお開きにしようかね」と寅さん。

 

ゴーン~ (帝釈天の鐘の音)



                    

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いつから人間は本当に正しいことを見失い、拝金主義になってしまったのだろう。
 

“お金を持っている人間が一番偉いんだ”と「勘違い」させるような某「マネーの○○」というテレビ番組があるけれど、お金は、本当はこの世界を幸せにするための「役目」を持っている。だから、真に人や世界を幸福にするアイデアには、手を挙げてでも参加したい人がいるはずなのだ。お金を持つ人に、アイデアを見てもらうのではなく、アイデアを持っている人に、お金を持つ人が自ら名乗り出る、そんな番組は出来ないだろうか?
 

「今週のアイデアはこれです! さあ、世界のお金持ちの方々、名乗りをあげるなら今です!」
 

明日、世界が終わるなら、銀行にある何百万も何千万もなんの価値もなくなる。
 幾ら大金を持っていても、死んだら向こうには持っていけない。だが、人を幸福にするアイデアは、自分が死んだ後も残り、社会に役立っていく。


 

最後に幸福屋から一言。
 

わしが見たいテレビ! 
 

そら、あんさん。見るだけで幸せになれるテレビ番組 でんがな。