お告げ – 147

……ダメよ、ダメダメー?
うーむ、またも街には奇怪な言葉が流布している。
少し前には、「イー!イー!!」と何でもかんでも肯定してしまうショッカー戦闘員の叫びが巷(ちまた)に溢れていたが、今度は一転して「ダメよ!」の否定ときた。
しかも「ダメよ、ダメダメー」とダメを3連発してくる、たたみかけの“強否定”ときた。
気の弱い人なら、それだけで落ち込んで三日は立ち直れないにちがいない。
「イー」と言ったり、「ダメ」と言ったり、性悪女に振り回される身にもなってみろ! と言いたい。
さてさて、広告代理店の企画の常套手段に「否定から、新提案へ」というのがある。
例えば、「エステの時代は終わりました!」と今或るものを最初に否定して、「これからは、これが新しい」と目新しい感を強調させる。
今、ちまたで流行りつつあるモノを否定すればするほど、目新し感は増していく。
人々がようやく流行の兆しに気づき始めたことを否定するのだから、よほど新しいモノか? と期待させる。
……けれど、たいがいはそんなに新しくないモノが提案される。
「今まで誰も見たことがない!」「今まで誰も知らない!」という言葉に釣られて、見たら「なあんだ……」というのと同じである。
その昔、水曜スペシャルで川口浩探検隊が「前人未踏の洞窟に入ります!」という緊張感さながらの探検隊を正面から撮るために既にカメラマンが先に入ってしまっているのと似ている。既にその洞窟は前人未踏ではなくなっているではないか!
また、企画の提案の仕方に「否定」からではなく、「肯定から否定、さらに提案」というややこしいのもある。
「今の形は確かに今の時代にフィットしています」と肯定し、「しかし……」と展開する。否定までにワンクッション置く。何故、こういう回りくどいやり方をするかというと今進行しているイベントやキャンペーンを決めた人間が広告部にいるからだ。「どうせ、ワシの企画なんて……」と部長の感情を逆なでしないためなのだ。世の中は論理では無く、感情で動いているから。長いものには巻かれろ、とも言う。
新しいモノが生まれるには、従来の形を否定せざるを得ない時もある。
ビートルズも保守的な町リバプールから生まれた。
「ダメよ、ダメダメー」も、一見、否定の形、抑圧の形であるが、工夫しだいで「オッケー」となるかもしれない雰囲気をまとっているとも言える。
押してもダメなら、引いてみな、である。
来年は、どうぞ柔軟な思考で。
2014年12年30日
最近、すべての事がどうだってよくなってきている。
なんだっていいんだよ、歩いていれば。
止まっててもね。
良いお年を!