お告げ – 145

……じぇじぇじぇ、じぇ?

街角で、変な擬音が耳に付く。
「じぇじぇじぇじぇ」
僕は、ジョジョの冒険なら知っているが、じぇじぇじぇは、じぇんじぇん知らなかった。

自分の知らないことを大声で話されるほど不愉快なことはない。
突然、チャイムがなってドアを開けたら、江頭2.50が立っていたような間の悪さである。

さて、ほとんどの人は知っているという「じえじぇ」とは、驚いたときに発する擬音らしい。
NHKの人気連ドラの中の擬音とか。今年の流行語大賞になるとか、ならないとか。

さてさて人間は、聞き慣れない言葉に弱い。
日常の中で耳慣れない言葉に出会うと一瞬固まってしまう。

そして、なんとか自分の理解できる方向を求めようとする。
テレビで流行っている言葉なら大丈夫だ。どんな言葉や擬音でも自分の日常とリンクできるからだ。
その昔、クレイジーキャッツの谷啓さんが「ガチョーン」と流行らせたのもテレビが人々とのあいだを取り持った。

では、誰も知らない言葉や擬音を発したら、人はどう反応するのか?
例えば、満員電車の中でこう叫んでみる。
「……ピロポンダリ」
つぶやいてはいけない。つぶやきは聞き間違いと処理される。だから、大きな声で叫ぶ。
周りはきっとシーンとなり、人々は自分の記憶に探りを入れる。
テレビ? マンガ? 漫才師の決めセリフ? 何処かで聞いた? 意味は?
雑学に強い者ほど真剣に考え込む。

そして、人々はもう一度聞こうとして耳をそばだてる。
何故か?
自分の中で意味づけしないと不安になるからだ。
クラスや職場の誰もが知っていて、自分だけが知らない話題があると、自分だけ仲間外れにされたように思ってしまうのと似ている。

かくて人は群れたがる。
それがフィールドってもんよ。

では、自分の知らない言葉を聞いたとき、どうすれば平静を)保ち、あまつさえ、周囲に対して逆襲できるか?
それは、「もう古いよ!」と言っちゃうことだ。
すると、周りは、おお、この人最先端だ! と思わず尊敬してしまう。
そして、古いと言われた本人は、「そうだったのか! 自分は遅れていた!」と愕然となり沈黙する。

これで勝敗は決まった。

意味がありそうな、なさそうな、どうでもいい言葉ほど、人々の記憶に残る。
そういうタイトルの本やドラマを目指して、自称クリエイター達は東奔西走する。
だけど、意図したものは、案外と流行らない。気をてらったモノは警戒される。
人々が求めるものは、日常の中の非日常。
ほんとの非日常じゃない。

対岸の火事と同じ。安全な中からの冒険しかしない。
だから、変われない……。

さて、かくも世は○○○○かな。
※設題:○の中に文字を入れなさい。

2013年8年28日
映画「クラウド・アトラス」を観たかい?
転生のシステムをかなり正確にたどった映画だったよ。
どの人種、民族に転生しても、顔や雰囲気は似続ける。
……でもね、人生は繰り返しじゃない。
この宇宙は螺旋で動いているからね。