お告げ – 112

大阪の罠
……人を縛るもの? 頼らせるモノ? 解放するモノ?
大阪心斎橋の夜に、華やかなクリスマスツリーや電飾のイルミネーションが幻想的に浮かびあがるころ……。
おんなじ様な顔をした女の人が、似たような服を着て、「そうやねん」「ほんまかいな!」と合い言葉のように交わしながら通り過ぎていきよる。
ふと見上げると、道頓堀のグリコの看板は、両手を高々と差し上げて相変わらず走ってはる。いったい、どこに向かって走ってんねんやろ……。
今日も、吉本新喜劇を見てしもうた……。
なんば花月で。今年に入って、なんべん見に行ったんやろ?
おもろいの、おもろないのと言いたくはない。言いたくはないけど、言うてしまおう。
おもろいで!
「けど、それがなんやのん!」 今イクヨクルヨのお腹をパーンと張る容赦ない音が自分の内側で響きよる。
……そうやねん。こんなとこでガハハハと大きな口を開けて笑ろてる場合とちゃうねん。
ワシかて、こんなとこで油売ってたないねん。
せやけど、他に何してええんか、思いつかへんねん。
笑うんは、そら気持ちよろしで。
久しぶりやもん。口開けて笑うのん。いっつも、「ふっ」って、斜に構えて笑ろてるから。
ほんま、大阪は、きっついで。
目に見えるもんしか価値があらへん。
「儲かって、なんぼ!」それが鉄則やねん。
企画みたいな形のないもんには、誰もお金払えへん。
結果を出して、なんぼ! ちゅうことですわ。
わかっとりま! わかっとりますけどね、あんさん、そう簡単に人間や社会が変わったりしますかいな!
「世界は、一瞬で変わる!」
誰が言うたんじゃ、そんなこと! 見てみい! 大阪プロレスを! 松山勘十郎とえべっさん仮面のピンクレディのマネを!
ずーっとおんなじタイミングで、笑いとっとるやないか!
……もうええねん。もう疲れてん。
やることやり尽くした気もするし、まだ、何にもしてへん気もする。
あれ?あんさんもワシと同じようにため息ついてはるんかいな。
……何やってもあかんかってん? そんな顔してまんなー。
ほんま、わかるわ。……なんもかも、思うようにならへんさかい。
あかん人間は、どんだけ努力しても、どーにもならんのかいな? 大阪におったら、よけい思うやろ。
「どないでっか? もうかりまっか?」
「あきまへん。 ぼちぼちでんな」
ずーっと、こんな会話で今日まで来てますさかいな。
けど、確かに、ちょっとずつは変わってるよ。
道頓堀川に架かる戎橋も、ウルフルズの『大阪ストラッド』の頃とは、様子が違ごうてる。一言で言うたら、変にキレイになった。
あの……昔、阪神タイガースが優勝した頃の、酔っぱらったファンが道頓堀に飛び込んだ雰囲気は、今はもうあらへん。
くいだおれの人形もおらんようになった。個人的な意見やけど、大阪プロレスのくいだおれ仮面の立場はどうなんねん?
まあ、相変わらず、カニやフグの巨大な看板は動いてるけどな。
誰が言うたんやったかな……?
テレビつけたら、いっつも同じようなアホみたいな、しょーもない番組やってるやろ。
それ見るから、「世の中はちっとも変わらへんなー」と思うやんか。
けど、その番組は、過去のもんなんやて。
番組は、一ヶ月くらい前に出来てて、それを今、見てたりするやろ。
たとえ、生チュー継でも、番組の企画はもっと前からあって、準備にも時間や日にちもかかってる。
そこに現実とのズレがあんねんな。
半年前は、アメリカに黒人の大統領が誕生するなんて、誰も本気では思わんかったやろ。
ちゅーことは、今、目の前で見えている世界も、ほんまは過去の世界(過去からの延長)なんやとしたら……。
今日までの努力が、今日も実らんで、何にも兆しさえ見えへんかっても、明日も何も起こらへんとは、誰にも言えんのとちゃう?
こうしてる間にも、世界は刻一刻と変わってんのとちゃう?
かちり、カチリと。
吉本かて、ほんまは世界征服狙とるんやと思うよ。
人を笑わせる奴は、笑ろてる場合とちゃうからな。必死や!
一般の人が気ラクに笑えるのは、笑いで商売してへんから。
なっ。
表面と裏の事情は違うやろ。世界も、変わらんように見えてるだけや。
もしかしたら、人々が「見たくない!」、「変わりたくない!」と思ってるから、かわらんように見えてるだけかもしれん。
気がついたら、あっ! ちゅう間に変わってたりするかも。
……あんさん、見てたら、ワシももうちょっとキバってみよかなーて思いましたわ。
おおきに、ビリケンはん。また、通天閣によしてもらいまっさ。
あっ、ワシの仕事な、「幸福屋」ですねん。人を魂から喜ばせて、なんぼの仕事です。
今度、ベンキョーさせてもらいまっさ。
ほな、さいなら。
2008年 12月20日 東京は、11月の陽気やそうです。
寒いけれど、薄いコートで十分だったりします。温暖化って、ほんとに起きているんですね。
この幸福屋のコラムも112回目を迎えました。ボディライトニングの施術が出来るライトニングワーカーもなんと112人を超えたそうです。
気がついたら、少しずつ変わってきている、ということですか……。