お告げ – 102

[本日の講演テーマ] 地球の進化と人の肉体的変化のオデン的関係  

[副題として] おバカな女は可愛い! と言うけれど、おバカすぎる女は……

Dr.ドロンジョスキー・シバイタロカ

……シーンとした、どこかのコンサートホール。少し薄暗い。咳ひとつ、あくびもできない緊張した雰囲気。
突然、舞台にやわらかいスポットライトがあたる。ツカツカツカと、蝶ネクタイを締めた男性がおもむろに登場。
「……えーっ、ようこそ、おいでくださいました。わたくしも皆様と同じように今日の日を待ち望んでおりました。遠くウクライナからお越しくださった、人類霊学の権威、ドロンジョスキー・シバイタロカ博士にお話しいただきます。テーマは、“地球の進化と人の肉体的変化のオデン的関係”でございます。それでは、シバイタロカ博士、どうぞ!」
……パチパチパチ。緊張のせいか、少なめな拍手が会場に響く。
長身のメガネをかけたインテリっぽい男性がのっそりと登場。
「あー、ゴホンと言えば、龍角散。こんにちわ。私が、ドロンジョスキー・シバイタロカです。京都のおばはんも嗅ぎつけたと思いますが、地球が地軸を傾けることなく、核の膨張と収縮を繰り返すことで、自らの進化を計ろうとしている、ということは、残念ながらお約束のような事実なのです」

シバイタロカ博士、ニコリともせずに語り始める。
会場の数人、緊張のあまり失神する。

「……地球の進化に伴って、惑星自体の固有振動数の変化、いわゆる周波数が変わっていくことは否めません。それは、いったいどういうことじゃろかい? と疑問に思われることでしょう。えーっ、恐竜時代、1億6千万年も続いた恐竜たちの世界が滅びてしまったのは、隕石の衝突や地下マグマの噴出、ウィルス説など諸説いろいろ在りますが、わたくしは、彼らの肉体周波数の許容範囲を超えた結果であると考えているのです。なぜなら、恐竜たちの中には、地底深くに住んでいたモノや海の中、空に暮らしていたモノもおります。それらのことごとくが滅びてしまうほどの変化なら、当時から生息していたカメ、ヘビ、ワニ、トカゲなどの鈍足のハ虫類や両生類とて、例外なく絶滅してしまったはずじゃあーりませんか。まして、海の底のアンモナイトなどの甲殻多足類までが滅びることはなかったでしょう」
シバイタロカ博士、ここで喉が渇いたのか、演台に置かれたペリエを瓶から口飲みにし、「嬉しいとメガネが落ちるんですよ!」と誰も知らない、大昔のオロナミンCのコマーシャルをつぶやく。そして、お腹が空いたのか、懐から、メンタイコ味のウマカ棒を出して、ひと囓りした。それを見ていた会場の中の子供が「ボクモー」と言って泣き出す始末。

「……人間にも、当然、個々の周波数があるわけですが、惑星の周波数の変化を今までは、なんとか受け流してきたのです。しかるに、この度の“大変化”では、その周波数の変化を受けきれるや否や、という処に“笑天”いや、失礼、焦点があるように思います。」

そのとき突然、会場から一人の見目麗しい女性が立ち上がって、シバイタロカ博士に質問を浴びせた。
「あのー、あたしぃ、難しいことはわかんないんですけどぉ、それって、どういうことですかぁ?」

シバイタロカ博士、女性のスリーサイズを透視するかのような視線で、
「……うむ、IQの低さと愛嬌の高さが放物線を描いたような良い質問でしたが、皆さんは、今の人類が“霊化”の変化の中に居る、ということはご存知でしょう。では、いったい、霊化とはなんぞや?、何がどのように変化するのか? わかりますか? それは、物質的な固い時代から、霊的な柔らかい時代の変化なのですが、人間の肉体が硬いモノからやわらかーいモノになって、エスパー伊藤のように小さな箱に収まってしまう、そんな変化を言うのではもちろんありません。
じつは、“霊化”とは、“自我の崩壊”を意味するのです。人間が長い間、時間をかけて作りあげ、そして、今度は、それにしがみついてしまった“自我”を内側から壊す、正確には“超える”ことで、人の進化を果たす時がとうとうやってきたのです」
それまで、黙って聞いていた一人の老人が、おもむろに立ち上がって発言した。
「あのー、康子さん、豆ご飯はまだですかいなー」

「……えーっ、“自我の崩壊”がもたらすもの、それは、過去生から培ってきたカルマ、まあ、今まで繰り越してきた“自己処罰的夏休みの宿題みたいな”モノが、ぜーんぶ肉体段階に降りてくる、というのがわかりやすい現象だと思います。つまり、多くの人が、肉体に“変化”を感じるようになる、ということなのです。それが“病気”という形を取るのか、あるいは、『ヒーローズ』や『ジャンパー』のような超能力という形で現れるのかは、わかりませんが、きっと、多くの方は、肉体に病気という形で表すのだと思うのです。中には、オーラを視認する人たちも増えて、その変化を目の当たりにするでしょうが。」

多くの人が病気になる、と聞いて、会場がざわめきだす。
隅の方に控えていた司会者が、会場の雰囲気を読んで質問した。
「あの、シパイタロカ博士、たくさんの方が病気になる、それが、どうして“進化”となるのでしょうか?」
「うん、良い質問だね。僕は高く評価するよ。“自我の崩壊”が病気として現れるのは、惑星の周波数変化に対する“解毒”のようなものなのです。つまり、地球自体が“進化”の段階に入ったことで、自分も進化(変化)しなくっちゃっ、と。今まで、自分で自分の内側を見ようとはしなかった、いつも、外側に目を向けて、求めてばかりいた自分が、自ら変化したいと深い魂の段階で願った結果が、自我の崩壊を促したのです。その事自体と病気とは直接は関係がないのですが、惑星周波数の変化は肉体にかなりな負担をかける為に、それが病気として現れ易いのです。ちょうどオゾン層の変化で紫外線が年々、強力になっているように。
それでも、宇宙のラセンの進化の中には、我々、人類も含まれるわけですから、病いをきっかけとして、自らの“自立意識”にまで到達できるチャンスでもあるのだと、わたくしは考えるのです。どうしてかっちゅうと、病気とは、もっとも人が依存の形態を取りやすいモノだからです」

年配の主婦ふうの女性が遠慮がちに質問した。
「あのー、その病気って、いったいどんな病気なんでしょう? 例えば、新しい病気が現れて、薬も開発されるのでしょうか?」

シバイタロカ博士、その主婦の家の晩の献立を予想しながら、
「……うむ。病気そのものが新しくなる、というわけではないと思いますよ。ククク、今夜は煮魚か、ご主人……。けれど、今までよりも進行が速くなったり、薬が効きにくくなったりすることは十分に考えられるでしょうなあ。アトピーも進化して、今までの薬が効かなくなった(今までも効いてなかったと思うけどね……)という医学界の発表もあるそうですから……」

先ほどの主婦の隣のそれまで寝ていた女性が起き上がって、質問した。
「じゃあ、いったい、あたしらどうすりゃいいのさ? あたしらに何を求めるのさ?」

「……それは一人一人が御自分で考えなければなりますまい。病気そのものに対する捉え方に変化が無ければ、内側に向かう意味も無いでしょうから。誰が拒否しようと、信じないから、と宣言しようと、それは、もう始まったことなのですから。薬や手術ではない、従来の肉体を超えるBLみたいな治療法でも在れば、そのことに気づきやすいとも思いますがね……。しかし、わたくしは、むしろ、今度の変化を人類の最後のチャンスであるように捉えて、いささか興奮しておるのですよ。人が人と争わないで居られる、恐怖に支配されない時代が来るかもしれない、と……。まあ、その為には、自分の中から、“恐怖”と向き合う必要があるとは思いますがね。それも、今までは、しなくて済んでいたコトが、誰しもがしなければならない時代なんて、ある意味、ニューパラダイム(新世界)の到来ではあーりませんか?」

会場から、ブーイングとわずかばかりの拍手。
シバイタロカ博士が退場する。心持ち、肩を落として……。
司会者が、再び舞台に登場。

「えーっ、ドロンジョスキー・シバイタロカ博士、ありがとうございました。私は、いつオデンが出て来るのかと期待していたのですが、皆さんも、地球なんかに負けないで、共に頑張りましょう。横断歩道、みんなで渡れば怖くない! ですから!」

会場からわれんばかりの拍手。……そして、暗転。
 
最後に、幸福屋から一言。
地球の進化は、留まることを知りまへんなあ。人間のように、三歩進んで二歩下がったり、五歩進んでも七歩も戻ってしまうことがおまへん。機械のように正確に、カチリカチリと前に進んでいきま。なんでやて言うたら、それは、地球には、「愛」しかないさかいでおます。人間のような「情」で、過去戻りとかはせえへんねやろね。あーあ、人間は地球の“進化”についていけるんやろか……。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」……か、けんど、そこにダンプカーが突っ込んで来たら、みんな死んでしまいますがな…… 

2008年 5月28日 マンションの下で、小さな子どもがずっーと泣いています。「おかあちゃん、おかあちゃん……」と。
ふと、人類の今の姿とダブりました……。