風の言葉 – 43

恵 方
2009年の今年の「恵方」は東北東だそうですね。
恵方とは、「歳徳神(としとくじん)」のいらっしゃる方角です。もともとは、陰陽道の方位学の一つですが。
陰陽道には、「方位」にこだわる術式が幾つもあります。
例えば、「方違(かたちが)え」。
これは、目的地に行くのに、いつもとは違う道を選ぶことで、難を避けるために行われました。
簡単なものでは、家を一歩でる時の足を左から右足に、右足から左に変えるだけで、「方違え」の効果があると言われています。
家を建てる時にも、方位学は重んじられ、北東は「鬼門」としてトイレなどを配置し、玄関にはしない工夫がなされてきました。
陰陽道の流れを汲む「風水術」は、大地の吉凶を読み、方位の難を吉に変えるためのものでした。
「南向きの窓には、オレンジ色のものを置きましょう。そうすれば、素敵な恋が訪れますよ」と言ったり……。
方位学を占う人や風水術で幸運を呼び込む事をビジネスにしている人たちもいますね。
一般の人たちも、それを意識してか、「今度、九州の福岡に旅行に行くのですが、大丈夫でしょうか?」と聞いたりするみたいです。
すると、「いや、あなたの今年の運勢から観ると、その方角は凶ですな。お止めになった方がよろしいかと……」と言われたりして、本当に旅行を取りやめにする人たちもいるそうです。
私も以前、海外のある場所に行こうとすると、ご親切な方が「その方角は凶です。止められた方が良いですよ」とアドヴァイスされました。
しかし、私は、「自分がその土地に行って何かをもらうのでなく、その土地に何をもたらすことができるのかを考えておりますので、行きます」と答えたものでした。
一昨年も別府で群生地震が頻発している時に、大分に入ろうとした時、周囲の人たちから心配されました。けれど、「大丈夫です。そこに愛を届けに行くのですから」と答えたら、本当に地震が納まってしまいました。まあ、偶然なのでしょうが……。
その時にも思ったのです。
確かに、方位学は、力学のエネルギー理論に違いない。けれど、外側の方位よりも、自分の内側の意志が、どの方向に向いているかの方がより大事なのではないか! と。
例えば、陰陽道が生まれたという中国では、風水で吉相に恵まれた都が歴史上幾つも作られました。けれど、その都はたいてい滅んでしまいました。護られているはずなのに。風水を駆使して作られた京の平安京も混乱と不安と戦さと飢餓が絶えませんでした……。
つまり、大切なのは、外の力ではなく、そこに住まう人たちの心の向きなのです。
方位や吉凶を気にするよりも、自分の「羅針盤」が常にどこを向いているのか? を気にすべきだと思うのです。
でないと、三歩進んでも、五歩も十歩も下がってしまう、そんな繰り返しの人生を歩んでしまいます。
まして、今は、誰も気づいていませんが、北半球、南半球のエネルギー磁場は、右回りから左回り、左回りから右回りと、しょっちゅう入れ替わっています。さらに細かく言うと、アジアやアメリカの磁場も不安定です。これは、方位の逆転を意味します。つまり、南だと思っていたものが、北に変じている現象です。
その理由は、地球が自らの意志で、核の膨張と収縮を繰り返す運動を起こして、自らの周波数を上げて「進化」する道を選んでいるからですが(精神世界の人たちにお願いです。この説明を何かに我田引水しないでね。質問されても真のメカニズムを説明できないでしょ)。
ともあれ、方位学自体が意味を成さなくなっているのです。
節分の恵方巻きも、吉方位が意味を無くせば、黙ったまま太巻きを食べなきゃいけないガマン大会ですね。
では、私たちは、自分の内側をどっちに向けていけばいいのでしょう?
北ですか? 南ですか?
いいえ、答えは、方位ではなく、過去よりも明日に、です。カッコいいでしょ。
方位に縛られるのは、世間一般の価値観や常識、あるいは、自分自身が作ってきた価値観に縛られている状態を意味します。
そこには、真の幸福な未来はありません。
自分の本当に大切にしなければいけないものは、何なのか?
向かっていく先に、愛はあるのか? 執着ではない、愛が。
その方向さえ、ブレなければ大丈夫です。
だから、過去に縛られるのではなく、明日に自分を解放していくのです。
でも、その方法は? ……自分で考えなさい。
自立こそ、過去からの脱出なのですから。
2009年2月1日 晴れ。
今日は、横浜の県民ホールで、ヒミコ伝の出版記念お話会とBLの施術体験会がある日です。
横浜と言えば、150周年なんだってね。しかも2月1日は、中華街の正月を祝う日です。
そんな年のそのような日に、海の見える山下町の県民ホールでお話会ができるなんて、とっても幸せに感じています。
皆さん、どうぞ、いらしてくださいね。ポコペン