お告げ – 10

大阪弁はウィルスか? 大阪弁ウィルス説の謎
あまり一般には知られていないが、「大阪弁はウィルスだ!」と言う説がある。
どこの誰が言ったのか? そんなことはどうでもいいことだ。
大切なのは、誰が言ったのかではなく、そのことが“真実”かどうか、である。
私たちはつい、肩書きのある人の言葉を信じてしまいやすい。だが、それは、自分で判断することを止めた依存心の表れのように思う。
では、なぜ大阪弁がウィルスだと言うのだろう。
それは、大阪弁が他人に伝染るからである。
「そうでんな」、「いや、あきまへんわ」などは、今では東京の下町でも日常的に聞かれるようになっている。
江戸っ子三代を誇ってきたじいさんが、自分の孫が「ぼちぼちやな」と言うのを聞いてショックで飛び上がり、ご先祖様に手を合わせたという。
その衝撃は、宇宙船に乗って辿り着いた惑星が、おサルが支配する星で、じつは未来の地球だった、というものに等しい。
以前、インドのカジュラホで出逢った宝石商人は大阪弁だった(ホンマ)。また、ハリウッドの映画スター、スティーブン・セガールも大阪弁を話すという。
人々は思うだろう。
いつ、大阪弁が自分の日常に入ってきたのか? と。
大阪人は、どこかの田舎から出てきた人たちと違っている。
田舎から東京に出てきた多くの人たちが、ぎこちない標準語を話し、必死に「おくに言葉」を隠す愛らしさに比べて、大阪人は、大阪弁を隠そうとはしない。それどころか、平気で大声で話し、人に大阪弁を伝染そうとさえする。なぜか?
それは、大阪人が、東京を日本の中心と認めていないだけではなく、大阪を日本の、いや世界の中心のように考えているからである。
と、これまではそう思われてきた。
だが、もし、それがたんに「大阪人のあくの強さ」ではなく、もし、もしも……ウィルスのせいなのだとしたら……。
大阪人が、自分でも気づかないうちに、ウィルスによって支配され、その菌を撒き続けているのだとしたら……。
いったい、それはなんのためか?!
私は、異常気象や災害の続いている地球と関係があるように思うのだ。
「トイレも焼けた、やけくそや」という言葉で己を励まし、大地震を乗り切った人たちがいたように、大阪人の「明るさ」、「しぶとさ」は、その言語に培われてきたのだ。と、すれば、大阪弁こそが、人類を未来の希望へとつなげるのではないか……。
そうなのだ! みんなが大阪弁をしゃべれば、民族や宗教の違いも乗り越えられるかもしれない!
やがて、地球が大阪弁で埋まったとき、人類は新しい時代を迎えるにちがいない。
ただ、一つだけ危惧がないでもない。
ある新聞に、東京の商社マンの奥さんが、「ドイツに暮らしたときよりも、大阪で暮らした方がカルチャーショックが大きかった」と書いていた。
しかし、そんなショックもなんのそのでんがな。
困難にぶつかったとき、あきらめられなくても、あきらめなくてはならないとき、こんな魔法の言葉を唱えてみよう。
「しゃあないがな!」
明るい明日が待っているような気になりまへんか?
これが地球の未来に関わる大阪弁ウィルス説の証拠である。
朝から晩まで、どこへ行っても、大阪弁。うつし、うつされ大阪弁。
さて、あんたはんなら、どないしはりまっか?